あなたとしたい。

「僕、二階堂さんに仕事を頼んでもいいんですか」と言われた。

しばらく、きょとんとしていたと思う。わたしに仕事を頼んではいけない、なんてことがあっていいのか。あるとすれば、お互いのことが苦手だとか、過去に仲違いをした…とか?だとしたら距離を保ったまま生きていけばいいわけで、無理をする必要はないはずである。歩み寄らなければならない大人の事情みたいなものがあったとしても、それこそ、ふーんだ。

数秒間、遠くを見つめていると「二階堂さん、高そうですから…」という言葉が続いた。つまらないプライドのことかしら。そんなもの、わたしにはないぞ。

報酬のことだと理解するまでに、さらに数秒かかった。使えるお金に限りがあるのは、どこも同じだ。できるだけ安く、最大効果を得たいのも。けれど、お金がすべてではないはずなのだ。大切なのは「なぜ」「何を」「どうしたいのか」なのではないかなぁ。

せつないことに、すでにわたしは若手ではない。大御所でもベテランでもない、ふわふわしたところに立っている(と思う)。一生修行だと思っているし、言葉の世界を全うできる日が来るとも思えなし、叶うとすれば、それは神様の領域だ。なのに「二階堂さんは、高そうだ」と思いこまれていることが多いのはなぜなのか。ふだんの言動が高飛車なのか?

大事なことなのでもう一度記しておくと…大切なのは「なぜ」「何を」「どうしたいのか」。だから「あなたとしたい(挑戦したい)」と熱い気持ちをぶつけてもらうことこそが、新しいよろこびのはじまりとなる。二階堂の場合はね。