あやすぎ。

縁あって、熊本の山鹿(やまが)というエリアにある山林を見学させてもらう機会を得た。森で育まれてきた土をお手本に、森とまちや人を土でつないでいこうというプロジェクトの一環である。

枝が落とされ、天に向かってすっと伸びる人工林を、美しいと初めて思った。気の通り道がさわやかで、日光がキラキラと差し込み、下草はみずみずしく生い茂っていた。よくあるおどろおどろしさやジメジメとした陰鬱な感じ、濃密な土っぽい匂いもしなかった。ふかふかの土を踏みしめ、しゃがみこんで手に取るとふわふわでさらりとしていた。感じたことのない感覚、見たことのない風景。とにかく、美しい、としか言葉が出なかった。

人が手を入れた山は、人が管理し続けなければならないという。自然100%のバランスを保ち続けている森はそのままで美しいけれど、少しでも人が手を触れたら最後、責任を果たし続ければならないのだ。はじめだけ手を入れて、あとは放置されるような例が少なくないこと、目先のことだけなんとかしようとする悪例についても教わった。

すらりと美しい姿を見せてくれたのは「あやすぎ」という品種。色つやがよく、強度があり、杉の女王と呼ばれているらしい。見るからに気品に満ちたたたずまい、手入れをする人たちから深く愛されているらしいことも伝わってきた。