永世中立。

「あなたは、くわしくなってはだめですよ」と言われた。ある専門的なプロジェクトの会議の席で、わかってますよねと念押しするような口ぶりだった。はい、もちろんです、とわたしは答えた。

自主的なプロジェクトであれ、広告主(企業や団体、お店、個人など)が明らかな案件であれ、コピーライターは中立を守る。広告主の熱い想いに耳をかたむけ、議論して、広告主をとりまく環境や時代背景、業界の特性、現在・過去・未来などについて考察するし、チームを組むデザイナーさんたちとはたびたび深く話しこむ。広告主によりそい、担当者をふくめたクリエイティブチームとしてまとまりながらも、知識や情報をどれだけ得ようとも中立であること。「どちらでもない」真ん中に立ち続けることの重要性と繊細さが、つねにクールで謙虚でいることの必要性を思い出させてくれる。

プロジェクトの当事者や広告主が伝えたいナニカは、熱いがゆえにすばらしい反面、むずかしかったりわかりづらいことがある。それが何なのか、どうして、だれのために、いつ、どこで、どんな風にどうしたいのか…「どちらでもない」真ん中にいるということは、伝えたい相手に届く言葉へ翻訳するための作法みたいなものである。

熱すぎず、クールすぎず、適切な言葉で伝えるために。必要に応じて専門的なことがらを調べたり、資料を探し回って頭に入れたり、人に聞いたり、自分の体で体感・実験したり。かっこいい、センスの要る仕事だと思われている節もあるけれど、伝える言葉=コピーというのは、地道な積み重ねから生まれていく。