元気なら、よし。

歯の詰め物がとれたので、歯科へ。メンテナンスに行かなくては、と半年くらい前から思っていた。3年ぶりにお会いしたK先生に不義理をわびた。「元気なら、よし!」とおおらかに言われて、気持ちが軽くなった。

3年ほど、大阪で暮らしたことがある。離婚することになったとき、神戸から離れようと考えて、中央区に移り住んだ。その1年半後に同区内の別の地域へ。笑うしかないほど何もかもがうまくいかない、人生で何度目かの暗黒時代だった。

K先生は、大阪へ行ったからこそ出会えたのだと感謝できる、数少ない人物だ。当時のわたしは人として不安定で、今とはたぶん別人だった。そのうえ、歯医者に恐怖心を持っていた。わたしのアゴは小さいらしく、永久歯が生えるだけのスペースが足りないからと小学生のころから何本も歯を抜いて、歯列矯正の痛みに耐えていた。何百万円もかかったそうなので、ありがたい…と素直に思いたいところだけれど、麻酔や抜歯が痛くて涙を流すたびに「泣くな!」と怒鳴る年輩のドクターがおそろしすぎて、歯医者と聞くだけで気分が悪くなるほどだった。

以後はいくつかの歯科を渡り歩いたものの、恐怖心は消えなかった。大阪時代、歯の治療をする必要があって、インターネットで探しあてたK先生のクリニックへ駆け込んだ。わたしの話を聞いたK先生は「ごめんね、本当にごめん。怖い思いをさせて」と何度も言った。そんな先生は初めてだった。

K先生は「元気でよかった。別人みたい」と言ってくれた。再訪をよろこんでもらえて、うれしかったなぁ。