喧噪。

人間界を出よう。

ホグワーツ魔法魔術学校から、ハリー・ポッターがほうきをあやつり飛び立っていく…ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の広告である。これまでにも何度か目にしたことのある文字列があらためて心の奥に突きささったのは、現状から遠くはなれたい、なんて気持ちがあるのかもとぼんやり思った。そういえば、生き急いでいると言われるほどに走り続けてきた感触が、確かにあるから。

いったん気づくと、もう止まらない。静かな場所でコツコツ書きたい、沈黙の森にもぐりたい、情報の渦からの回路を断ちたい、身のまわりのできごとを淡々と眺めていたい、あれもこれもそぎ落とした世界で暮らしたい…さまざまな願望が泉のごとく湧き上がる。ひさしぶりに、リセットやメンテナンスのタイミングが訪れたのかもしれないなぁ。

けれど。先日の沖縄取材で、自分たちの仕事を通して沖縄の役に立ちたいと心から願う人々に出会った。沖縄の基幹産業であるさとうきびの他に、その土地その土地で何代にも渡って受け継がれてきた在来種とよばれる作物を後世に伝えたい。そのために困難を乗り越えて育て、商品化して、伝え広めていくための資金をつくり、さらに育て、生産量を増やすことでファンをさらに獲得していく…ひたむきな想いのループ。

沖縄に限らず、どっしりと地に足をつけて世界を見つめる方々との出会いが増している。わたしにできることは、その存在をそれぞれの背景と共にていねいに伝え、共感を呼び、実際に行動することで支えてもらうこと。何をどこまでできるかわからないけれど…走れるところまでは走りきらなくては、ね。