自分の言葉で語れる未来。

弟子をとらないの、と何度か聞かれたことがある。コピーライターがいない、コピーライターは絶滅危惧種ですよ、などと言われて…後進を育成しなくちゃいけない年代なのねと考えたこともある。

けれど今、わたしはそれをしていない。した方がいいんだろうなという気持ちはあるものの、実際に行動していない。それが、現在のすべてである。

言葉の世界を、教え、伝えるのはむずかしい。こうすればよい、という明確な答えをわたしもまだ持っていないから、今もなお手探りが続いている。また、世の中には、うまいコピーの書き方なるものを記した書籍がけっこうあるので、そういうことが知りたいのなら、わざわざ語ることはないなぁと思っている。だって、文章が上手な人はたくさんいるもの。だとしたら、そこはわたしでなくていい。

結局、わたしは、コピーというもの…言葉について、あらためて語るべき言葉を持っていないのかもしれない。ううん、コピーライターを育てるよりも、だれもが自分の言葉で語れる未来をわたしは強く夢見ているのだ。

自分の言葉をもって思考し、話し、書き、適切に具現化することができる未来。そんな世界を想像するだけでゾクゾクしてくる。そのためならば、よろこんでこの身を捧げよう。