声が聞こえる言葉。

「あなたが書いたコピーからは、あなたの声が聞こえる」と言われた。

読むと、なんとなくわかるという。書き手がわたしだと判明したら、さらに声が聞こえると。自分ではわからないけれど…書くときはいつも、わたしらしさみたいなものや気配を消すよう、心がけている。だれもがわかる個性、作家性は、わたしの場合は必要ないし、あっては困る。わたしはあくまで裏方であり、メッセージの代弁者、または翻訳者なのだから。

クライアント(広告主、発注者)が伝えたいことを、伝わるようにするために。メッセージの精査はもちろん、言葉の選び方、文章の流れやリズム、温度、音感、質感など配慮すべき事柄は実にさまざまである。それらを同時に意識しながら書き進め、よりよいゴールをめざす過程は、苦しくて苦しくて。気を張り詰めていないと書けないため、結果的に、寝食などがあとまわしになってしまうのは、自分でもどうしようもないなと思っている。

「小手先のテクニックで書いているのではない気がする」とも言われ、これまでのすべてを注ぎこんでいる、と言ったらうなずいてもらえて、うれしかった。

黒子は、黒子を極めるのがかっこいい。見た人にどんな印象を与えるのかは、いろんなことの先にあり、結果なのだとわたしは思う。